”良い”演奏を目指して
良い演奏とは?
きっと、人によっていろんな意見があるだろうと思いますが、私が思う良い演奏とは、聴いていて何か心に響くものがある演奏です。ワクワクするな、かっこいいな、綺麗だな、などどんな事でもいいので、聴いている人の心に残る演奏ができたら素晴らしいと思うのです。
たとえば、技術的に未熟であっても、またたとえミスがあったとしても、心に残る演奏や感動する演奏ってありますよね。私はそういう演奏を目指してほしいと思って日々レッスンしていますし、自分自身もそうでありたいと思っています。
ミスの数で点数をつける、というピアノ対決の番組がありましたが、音楽ってそういうものじゃない。ミスがあるかないかより、その人の気持ちが伝わることのほうが大事だと思います。それが、「良い演奏」だと思うのです。
間違いを気にするより、
「どう表現できたか」「気持ちを込めて演奏できたか」
そういうことのほうが大事だということ、それがしっかり伝わるようなレッスンをしていきたいと常々思っています。
プロだからすごい、音大生だからすごい、難しい曲を弾けるからすごい、指が速く動くからすごい、コンクールにいつも入賞してるからすごい、…
もちろんそれはそれですごいことです。
でも、本当に大事なのはそこじゃなくて、その演奏に「自分の思い」があるかどうか。
“ピアノを通して自分の思いを表現すること、伝えること”
これが出来ていれば良い演奏であると思うのです。
難易度やミスの数で競ってはダメです。また、ジャンルで優劣をつけることもダメです。
どんな音楽でも、
「これが自分の好きな音楽なんだ」「自分はこういう風に表現したい」
そういう、自分だけの演奏を大切にしてほしい。それが、その人の”個性”だと思うんです。
(もちろん、基礎も学びつつ^^)
日本の学校教育は、みんなと一緒、みんなと考えを合わせることが良い、平均的が良いとされてきました。昔と比べ、今はだいぶ個性というものが尊重される世の中になってきつつありますが、まだまだ根強くこの「みんな一緒」の感覚が残っています。
日本の音楽教育もまだまだこういう考えが主流で、コンクールや音大受験などは、個性より
「平均的に弾けているか」「正確に弾けているか」
こういうことを基準に判定されてしまいます。また、音大に行きたい場合、日本ではほぼクラシックしか選択肢がないのも現状です。
なので、コンクールや音大に受かろうと思ったら、それに合わせた演奏や対策をしなくてはいけなくなります。
もちろんそれはそれで大事ではあるし必要な時もあるかもしれません。でも、そういうことばかりに目を向けていると、本当に大切なことを見失ってしまいがちになります。
いちばん大切なのは、ピアノが好き!こんな曲が弾きたい!こんな風に表現したい! という、純粋な思いですよね。
誰でも最初は、
「こんな曲が弾けたらいいな、素敵だな、かっこいいな…」
そんな思いからスタートしていることと思います。
もし練習が辛かったり何か演奏で悩んだときは、この時の初心を思い出したいですね。
関連記事: ピアノ上達のコツ2〜発表の場を作る〜